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あおいとりプロジェクト

西洋美術館『グエルチーノ』

2015年04月24日|museum, やまねこクロニクル

午前中カフェ鑑定で、外に出たので
天気もいいし、思い切って上野まで出て、
西洋美術館へ行ってきました。

これが目当てです。
世紀末の幻想――近代フランスのリトグラフとエッチング

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最近西洋美術館は、時々テーマを決めた小品を新館の2階に展示しています。
今回の展示の一つに薔薇十字のサロン開催のポスターがあると聞いて、
興味があって見に行きました。これは素敵だった!

そして、上記のリンク先にも画像がありますが、
「荊冠を被った女」はなんかすごかったなあー。
引き込まれる感じがしました。怪しい美しさ。
こういうのって、本物と写真違うんだよね。なんだろう。

それと、魂の絵のようだと注釈がついていたやつも、
もんやり、ぼーっとした雰囲気が、なかなかハッとさせられる魅力があり
見どころ何ではないかと思います。絵っていろんな描き方ありますね。
そしていろんな表現があります。道具や技法、材料で。

このころのリトグラフの挿絵的な美術が本当に好き。
デューラーから始まり、ルドンまで。エッチングとか。
印刷技術があるからこそ、一般の人に知識が広まり、
平等という概念が広がったと思いますね。はあ、感慨深い!

 

こっちが本命で、特別展は何をやっているか知らずに
ふらりといって、常展は見慣れているし(何回来たか覚えていないが)
さらーっとしか見ないだろうなあと思いつつ(でも見るんですけど)
ついでに見とくか、グエルチーノくらいのノリで見ることにしたのですけど。
(特別展見ると1500円ですが、常展の入場料も込みなので)
グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家
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本命がかすみました!

イタリア・バロック美術を代表する画家、グエルチーノ(Guercino)
本名:ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ
(Giovanni Francesco Barbieri, 1591年2月8日~1666年12月9日)の
業績を日本で初めて紹介する展覧会。(そして多分最初で最後と予測!)

 

実は宗教美術が昔から大好き。
父母はアート系でまあ子どものころはたいていお出かけは美術館でした。
この時代の人はもう印象派が大好きですよ。
私も好きですけど、はつらつとしたモネやルノアールは興味がなく
曲がっているゴッホやルドンが好きです。あとシュールレアリズム。

 

そのうち、エルグレコに出会います。
これが最初の宗教美術の出会いかな。
なんかすげーと、思ったのです。
それから、ナショナル美術館とかで、見まくりました。
(あそこの膨大なコレクションに一緒にいた人は気持ち悪くなりました)

 

印象派も、宗教を題材にした人もいますが
どちらかというと、ロマン主義や象徴主義が好きですね。
19世紀くらいには宗教の概念が壊れてきますからね。
キリスト教というはっきりとした概念というよりは神への憧れ的。
宗教哲学は次第に宗教権力となって行っていた時代。

 

で、幼い私(10代ですがいつか忘れました)が
エルグレコに何の衝撃を受けたか、昨日分かった気がしたのです。
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今回のグエルチーノは2012年の5月にボローニャあたりで大地震があり、
さすがの石の建物たちもかなり被害を受けたようで。
修復するのでチェント市の博物館から絵を貸してもらえることになったらしいです。
そして、教会に会った絵もあるわけで。(修復にお金も要りようだろうし・・・)

 

今回の展示で、グエルチーノの絵の礎になった
ルドヴィコ・カラッチの絵が一番最初の展示となっていて、
そこから始まる展示にもぐっときました。

 

それを見ながら、、
「教会に在った絵」というものの、なんとも言えない雰囲気にハッとしたんです。

 

仏像とかも、毎日人が「ありがたやーありがたやー」と拝んでいると、
何か年々纏っていく気がしているのですけど、そういうのと似てます。
物質としての、モノに人の祈りという思いがまとわりついてくると、
「ツクモガミ」的になるというか。威厳があるのです。
これと同じものをわたしはエルグレコの絵に思ったのだなあと思います。

 

パトラーッシュの例のネロが
ルーベンスの絵に魅了された意味がようやくわかったような(笑)

 

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音声ガイドをしっかり借りて、じっくりみました。
(520円ですし、おすすめー)

 

グエルチーノって私は聞いたことない画家だったのですが、
入り口そばに在るグエルチーノを紹介するVTRでも
「日本では無名」とあったとおり

 

ガラガラ天国でした!
絵をこの人の少ない空間で見られる幸せ!
なんてラッキーなの!と感動。

 

展示されていた枚数は40枚強ですが、
大きさが半端ないです。

信者を圧倒し上から威厳を振りまく、教会に収める宗教絵画ですから。

大きさは美術館の壁上から下まで。
3m以上あるように見えましたね。
祭壇に飾る級の絵がずらりと並んでいました。

一番気になったのが、【マリア被昇天】
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チケットになっている絵ですね。
これ、「マリアを表す12の星を冠にした・・・」と説明があって、
占星術師としては「!!!!」と反応しますね。
(宗教画は長い間好きですが、占星術は最近なので一致してなかった)

 

自分の力ではなく、神の力で登るので被昇天。
このころって、宗教改革で、カソリックと、プロテスタントで
戦いが繰り広げられ、民衆の心をつかむために宗教美術にも力が入れられました。
だから、より神聖な雰囲気の絵を出し、神の威厳を示すことは
(最初は偶像崇拝禁止でしたが、まあ、絵の方がわかりやすいし、
庶民は昔字が読めませんでしたから)

 

無原罪のお宿りとか、
マリア被昇天
聖家族と、
あとご当地聖人系の絵が人気ですよね。

(エルグレコの他にムリーリョも結構好き)

ご当地聖人は守護聖人として、パーソナルに身近に思え
あと、地母神の流れをキリスト教に組み込んだ象徴とも言われる
マリア像はわかりやすいご利益なので人気が高いです。
(この象徴があったから南米で爆発的に広まることができたといってもいいくらい)
そして、プロテスタントは聖書に帰る考え方なので、
キリスト教から、そういう他宗教の流れを排除しようという意向だったのかもな
と昨日ぼんやりと思いました。

 

グエルチーノの中でのご当地聖人は「カルロ・ボッロメーオ」
ミラノで疫病が流行った時に自分の命を顧みずに
病人を看病した人。

 

それと、これも人気な聖人ですが、
聖カタリナの「神秘の結婚」という作品がいくつかあって印象的。
個人的を興味を惹かれました。

王家の娘だったのですが、政略結婚を嫌い、
神との結婚を幻視した人で、神に指輪をはめられた人(幻視でね)

有名どころはベルニーニの「カタリナの恍惚」という彫刻ありますね。

 

あと、個人的興味は「サモスの巫女」
この場合の巫女はユダヤ教の預言者で「キリストの再来」を予言した人。
個人的にこの女教皇ってこの人のことじゃないの?と思っています。
マリアだという話もありますけど。
女帝の方がマリアっぽいと私は考えています。
(マリアをどう考えているかによる話ですけど)

その他に幻視をテーマにした聖フランチェスコとかもあり、
この幻視している人や絵にわたしは興味がひかれます。

物質的実際性の視覚(感覚・五感)
個人的主観性が(脳を)圧倒した視覚(感覚・五感)。
これが個人的研究対象なサブジェクトなので。
(同じ意味で、殺人犯の心理にも興味あります。)

 

あとは、
隠修士 聖パウルス
荒野で修行していた人。面白いのはパンをカラスが毎日運んできているとこ。
私的には隠者のモデルっぽいなあと思いましたね。
テーベの荒野の洞窟に迫害を逃れて暮らしていたパウロさんということだと思います。

 

もう1つが女性で娼婦だった人が悔悛して、キリスト教徒になった
マグラダラのマリア。この人も山の中で修行して過ごしたそうで
この隠者的モチーフを自宅用に描いて飾っていたというのが印象的
こういう、敬虔な隠者的なものへのあこがれがグエルチーノには在るようですね。

 

バロックというと、まあ、ベルニーニに目がくらむ私ですが、
グエルチーノの絵はどれも教会にずっとあって、
人々が絵に向かって祈りをささげていたもの。
雰囲気を味わうのも、きっと楽しいと思います。

 


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みかみ まき

西洋占星術師&アクセサリーデザイナー、水晶占い師占星術・タロットをまついなつき氏に師事、占星術と水晶透視を松村潔氏に師事しております。詳しいプロフィール

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